【旧茄子川産業振與財団設立経過】
1.村議会の財産処分議決
明治30年4月1 日茄子川村と千且林村の合併により坂本村が誕生した際、茄子川村が所有していた山林、原野(公有財産)を、茄子川地域住民による部落有財産管理委員会が維持管理していたが、この財産の特殊性(災害防備、水源涵養、保安林)を考慮した今後の維持管理等のあり方について長年研究議論がなされた。
この結果、坂本村はこの公有財産を特別基本財産として茄子川地区の振興発展に資することを目的として、昭和7年3月28日の村議会で、村有財産の処分について条件を付し、茄子川財団の設立のため財産譲与(処分)の議決を行った。
・財産処分の条件(抜粋)
(イ) 譲与土地は、永久に特別基本財産となし、その収益は坂本村字茄子川地内の公共事業に充当し、残余ある場合は、その目的のため積金となすこと。
(ロ) 譲与土地は、坂本村字茄子川部落民に貸地料1町歩に付いて1年玄米1升の割合を以って-一賃借をなす一一。
(ハ) 貸地料を以って譲与土地に対する地租公課その他維持管理費の支払いに充てる。
2.公益法人「茄子川産業振興財団」の設立
上記の条件により、讓与処分の公財産を特別基本財産として、寄附行為に公益目的事業を定め、昭和8年1 1月25日農林省から民法の規定による公益法人茄子川産業振興財団の設立が認可された。
3.公益法人茄子川産業振興財団の寄附行為(抜粋)
(目 的)
第5条 本財団は、中津川市茄子川地区内における産業の振興及び環境の整備に寄与することを目的とする。
(事 業)
第6条 本財団は、前条の目的を達成するため次の事業を行う。
1) 農業業務の改良
2) 山林の育成と整備改善
3) 環境の整備改善
4) 前各号に掲げるものほか、本財団の目的を達成するために必要な事業
(基本財産の処分の制限)
第7条 基本財産は、これを処分し、又は担保に供してはならない。
ただし、本財団の目的達成上特に必要があると認められる場合は、理事会において、理事現在数の4分の3以上の議決及び評議貝会の同意を経た上、岐阜県知事の承認を受けた後その一部を処分し、又は担保に供することができる。
4.財団の基本理念
・財団は公益事業を実施する。
・基本財産の貸付からの収益は、地域振興発展のため公益事業に充当する。
・基本財産は永久に維持管理する。
【公益法人制度改革と財団の取り組み】
1.公益法人制度改革と新公益財団法人への移行
旧公益法人は、明治29年の民法制定以来100年余りの歴史を有する制度で、税制の優遇措置や補助金のばら撒き、国家公務員の天下りの受け皿等となって、国民から多くの批判が集中していた。
そのため、小泉総理大臣の下で行政改革の一環として公益法人制度改革が実施され、新しい公益法人改革3法が公布施行された。
これは財団法人の総見直しのため、すべての財団を新制度による認可・認定を改めて取得しなくては存続できない厳しい改革であった。
平成20年12月1日から、全国一律に公益財団法人の総見直しが実施され、先人の英知と努力により全国的にも珍しい公の財産の寄附による財産を基本財産として、山を守るため設立された茄子川財団もその対象団体となった。
新制度の主眼は、税制の整理、公益目的に関する事業を積極的に実施すること、併せて営利を目的としないことである。
この新制度への移行には、5年間の期限が付けられ、同期間内に認可・認定を得られない時は、即解散となる。
茄子川財団では、地域皆さんのご意見をお聞きし、公益法人での存続要望が大半を占めていることを確認し、併せてその支援をいただきながら、先人が成し遂げたことが出来ないことはないとの信念で邁進した。
役員の中にも、様々の考え方意見が存在し、その道は平坦なものではなかったが、この移行への準備期間が地域の皆さんへの周知とご理解いただくには有用であり、併せて県との十分な折衝と協議に充分時間が取れた幸いであった。
その認定取得の道のりは困難であったが、それがための手順は間違っていなかったと確信している。
この5年の期限は長いようで短い期間であった。
2.新公益財団法人への移行に当たって
(1) この新公益財団法人茄子川地域振興財団が、未来永劫安定的に存続できるかが極めて重要課題である。
(2) 公益財団法人認定取得は、第1の関門(ハードル)にすぎない。
これは新法人のスタートであり、安定運営の確立が求められる。
(3) 新財団では法令の遵守、不特定多数のものの利益、低廉価格、経理的基礎と専門的技術能力を有することが必要である。
(4) 新財団では、特に政策(公益目的事業)と実践(公益比率等)の継続性を確保が求められる。
(5) 事務局体制の充実と確立が重要である。
(6)
茄子川住民の理解と賛同が必要
@ 茄子川住民へ周知・研修を行い、意見を聞く。
ア) 新たな制度「公益法人改革3法」の勉強会の開催
公益総研株式会社主席研究員による研修会(区長、理事、評議員、 監事)
イ) 茄子川住民への周知、勉強、意見等を聞くための、パンフレット、リーフレット等の配布
・新しい財団法人をめざして 「全戸配布」
・岐路にある茄子川財団 「全戸配布」
・広報「ざいだん」の配布 「全戸配布」
ウ) 各区、班毎に住民との説明会開催
地域代表の評議員を中心に開催
エ) 公益法人改革と財団の方向等について周知、協議
一般法人か公益法人か解散かの選択
A 住民の意思を尊重する。
B 将来を見据え、子々孫々に誇れる法人であること。
C
地域の振興発展に寄与、公益目的事業を主眼とし、地域をリードする法人であること。
3.公益財団法人移行認定申請とその経過
(1) 自前での公益法人認定取得に向けて
公益法人認定取得に向けて、国、県での開催の研修会或いは、公益法人協会等開催の勉強会、研修会にたびたび参加する内に、この新制度では法令基準に基づく厳格な財団運営が強く求められていることが、理解された。
@ 絶対的要件は
・法令の遵守、不特定多数のものの利益、低廉価格
・経理的基礎と専門的技術能力を有すること
・政策(公益目的事業)と実践(公益比率等)の継続性
・事務局体制の充実と確立
A
上記の要件を充たすには、ただ単に公益法人の認定を取得するのみでは、財団の継続的安定運営は、極めて困難であることが明白であった。
認定取得のみをコンサルタントに委託し公益法人になった団体では、将来自前での運営管理の能力がないため、運営に欠陥を生じ解散の憂き目も予想された。
(2) 体制整備
@
まず事務局体制の整備が必要不可欠事項と考え、事務局長、会計職員の充実を図った。
A
移行認定申請に係る関係書類の作成について、事務局を中心に、実際の財団運営を構想し、土台から建家まで自前施工とすることとして、先進認定取得団体等の体験を学習しながら、実務に合ったものに積み上げた。
B
会計経理に係る資料については、宮嶋公認会計事務所のご指導、支援を頂いた。
C
手作り申請のお陰で、地域に則いた財団設立時の本主を継承した遂行可能な事業目的となった。
特に大きな成果は、申請に係る経費の大幅削減が出来たことである。
この成果は、事務局の努力の賜物で賞賛すべき事項である。
D
この貴重な努力、経験は、財団の安定運営の礎として、上級機関等の監査、法令書類の提出等すべての事務管理、運営に生かされるものと自負している。
(3)
理事会及び評議員会に特別委員会の設置
@ 公益法人へ進むべきか又は一般法人へ進むべきかの研究、検討、議論の場を設けるため財団に特別委員会を設置
・理事会に公益法人制度改革検討特別委員会の設置について
(平成22年6月24日理事会議決) 委員会 理事 4人
・評議員全員協議会及び部会設置要項の制定について
(平成22年7月24日 評議員会議決)
・評議員会に「公益法人制度改革特別部会」設置 委員19名
・法人の公益か一般か、法人の名称、目的、事業、役員の定数、任期等研究会、検討会、研修会、方針
・各特別委員会最終方針決定 公益財団法人へ
A 理事会及び評議員会は公益法人への移行方針決定
(地域の説明会、研修会を経て)
・第9回 理事会 平成22年11月25日
「公益法人移行認定申請」手続きの承認について(議決)
定款変更(案)承認
・第4回 評議員会 平成22年12月5日
「公益法人移行認定申請」手続きの承認について(議決)
定款変更(案)承認
最初の評議員の選任、定数について及び最初の評議員選定委員について
・第1回 理事会 平成23年5月16日<議決>
・第1回 評議員会 平成23年5月29日<議決>
公益法人移行認定申請に伴う役員就任予定者名簿について
・第4回 理事会 平成23年9月24日<議決>
最初の評議員の選任方法について
B 平成25年4月1日付けで 知事認可
・公益財団法人 茄子川地域振興財団 県認定
C 平成29年5月6日
この改革は、旧来の民法の規定により設立された公益法人を一掃して、新たな法律による一般法人と公益法人に分け、県の認定を経て、これにより法人格を取得できるものである。
財団設立の設立理念は、基本財産の永続的維持管理とそれから生じる収益により公益事業を推進し、茄子川地域の産業を振興することにある。
この貴重な理念に基づき、財団は着実にその成果を上げ、今、それぞれの公益事業「定住化促進事業、里山管理保全事業、里山活用マレット事業」を進め茄子川地域の活性化と振興発展に努めている。
【歴代理事長一覧表】
名称 「財団法人 茄子川産業振興財団」
年 代 |
氏 名 |
就 任 年 月 |
在 期 |
|
初代 |
篠 原 基 一 |
昭和 7年3月28日 |
1年 |
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2代 |
新田 幸三郎 |
昭和 8年4月 1日 |
4年 |
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3代 |
成 瀬 団 作 |
昭和12年4月 1日 |
4年 |
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4代 |
新 田 幸 一 |
昭和16年4月 1日 |
4年 |
|
5−6代 |
田 中 清 吉 |
昭和20年4月 1日 |
8年 |
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7代 |
成 瀬 団 作 |
昭和28年4月 1日 |
1年 |
|
8代 |
新 田 康 一 |
昭和29年4月 1日 |
3年 |
|
9代 |
鈴 木 森 造 |
昭和32年4月 1日 |
4年 |
|
10代 |
橋詰 益喜智 |
昭和36年4月 1日 |
4年 |
|
11代 |
林 仙太郎 |
昭和40年4月 1日 |
3年 |
|
12−14代 |
成 瀬 助 賢 |
昭和43年4月 1日 |
12年 |
|
15−17代 |
勝 薫 |
昭和55年4月 1日 |
12年 |
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18代 |
篠 原 亨 |
平成 4年4月 1日 |
4年 |
|
19−20代 |
篠 原 成 利 |
平成 8年6月 1日 |
6年 |
|
21代 |
池 田 良 朗 |
平成14年6月 1日 |
2年 |
|
22−23代 |
河 尻 欣 一 |
平成16年6月 1日 |
4年 |
|
吉 村 正 典 |
平成20年6月 1日 |
2年 |
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新法による公益財団法人 名称 「公益財団法人 茄子川地域振興財団」 |
||||
25−29代 |
原 勝 治 |
平成22年6月24日 |
7年 |
|
30代 |
勝 佳 朗 |
平成30年5月28日 |
在職中 |
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